日本発スイス経由英国。日記、雑記、こころの整理整頓記。
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少しでも、少しずつ、でも
仕事先のservice userサービスユーザー(クライアントのことだけど
こちらが主に使われる)のGさん。
彼は非常にものぐさで身の回りのことでも何でも殆ど命令するように
『指導』しないと何もしないマイペースな人。外にも出たがらない。

週一回銀行でお金を下ろす、郵便局で家賃を払う、毎週木曜に
学習障害者の為のパソコン講座で2、3時間外出、日曜の礼拝。
それ以外はプロジェクトハウスで引きこもる生活。
Mild learning disability軽度の学習障害と若い頃に幻聴を伴った
schizophrenia統合失調症、agoraphobia病的に外出嫌いと診断されて
ずっとお兄さん家族と生活していたそうだ。
でも60になって、少しでも自立に近づければという家族の望みで
プロジェクトハウスに移って来たのは2年前。

何事もほんとうに最低最小限しかやろうとはしない。
外に連れ出そうとしても行きたくない、疲れてる、足が痛い・・などと
思いつく限りに理由を並べて拒否する。
サポートワークで『無理やり』はいけないんだけどGさんに対しては
そうしないと彼が結局何にもしないで終わってしまうので
毎日猛説得あるのみ。忍耐と根気が要るハードワークだ。
いったん外に出ればGさん、買い物でも何でも素晴らしくこなせるし
帰ってきてからも満足そうなのでなおさらもっと行動範囲を広げるべきだが
出るのがとてつもなく嫌らしい。外出嫌い、というか出ず嫌い、だと思うのに。


いかにGさんに行動させるか数年係わりあって信頼かつコツを
つかんでいるスタッフはちょっと説得して、彼の外出成功に導ける。
彼のキーワーカー(Gさんのサポートワーク責任者)との会話を聞いていると
そこまで言いこめなくてもいいんじゃないかとGさんが可哀相になるほど
強い口調も飛び出してくるけど、彼女とならGさんは公園に行ったり
食事に出たり外出もきちんとできて楽しそうにしている。
キーワーカーは煙たい存在みたいだけれど彼のために良かれと思って
ということがGさんもわかっているようだ。

私などまだ新顔っぽいから全然駄目・・だったのだけど
大ブレークが数日前訪れた。
パンと牛乳がきれたのでちょっと買い物に行こうと思った時
多分断られるだろうけれど一応訊いてみるか、と庭で喫煙中のGさんのもとへ。
Do you want~?何々したいか?ときけば答えは99パーセントNo、な人なので
ちょっと考えてから、I wanna go up to the shop and get some milk.
Can you help me? わたしが、牛乳買いに行きたい、手伝ってくれる?って
いうふうに訊いてみたらば、なんと。
タバコを片付けて立ち上がろうとするではないか。
靴履き替えたほうがいいか?なんて聞かれてびっくりしたけど
驚きはひた隠しにして近所のスーパーへと連れ立った。
門を出て直ぐに実は牛乳以外にもクリーニング店に行かなくては
ならなかった(笑)のでそれを告げると
I’ve got some trousers I want to bring. Can I go back and get them? 
自分も(クリーニングに)出したいズボンがある、取りに戻ってもいいかな?
ですって! 何だよ、牛乳だけじゃなかったの?やっぱり行きたくない!って
言われるかと思ったのに。

荷物もしっかり手伝って持ってくれて一度も嫌そうな態度は見せずに
スーパーでもクリーニング屋でも立派だったGさん。
クリーニング屋でちょっと可笑しな事があってクスッと笑って彼を見たら彼も
にっこり微笑み返した。
これ、これ、この笑顔。
このためにこの仕事しているんだって最高に嬉しかった。
彼の日常生活では小さな一歩かも知れないが、私にとってはとてつもなく大きな成果。

どうして私の言うことをちゃんときいてくれたのか、謎だ。
マネージャーからも日頃、Gさんには厳しく指導するように、あなたは優しすぎ、
なんて言われてた。
厳しくっていってもダメ・サポートワーカーのように怒鳴るの嫌だし(彼はよく
怒鳴られたり、詰られているのだ、嗚呼)。
せめて、彼と接する時は物事の筋を通して、しっかり説得するようにしてきた。
なにか課題をこなせばそれを認めて褒めてあげるようにしてきた。
他のスタッフは見落とすようなことでも私はちゃんと見ているよって伝えたくて。

買い物当日、昼食後の洗い物をするように言われても伸ばし伸ばしにして
私以外のスタッフから怠け者呼ばわりされてから食器洗いをはじめた彼に
思わずひとこと。
怠け者って言われること、いい加減嫌にならない?ほら、洗物だってちゃんと
出来ているじゃない?そうやっているあなたは怠け者なんかじゃないって。
Gさんはいつものように聞いているんだかわからないそぶりだったけど
聞いていたのかもしれない。あのときの私の思いが届いたのか。
彼はそれに応えてくれたのか。

以前はGさん、挨拶もろくにしてこなかった。
でも、この前の宿直の時、もう寝るよ、おやすみ!ってごく自然に
声を掛けてくれて、今の何?ってびっくりしちゃった。

だんだん心を開いてくれているのだとしたら、何よりだ。
次はまたNo!かもしれないけど。少しでも、少しずつ、でも意義がある。
一歩一歩、前進していこう。

テーマ:福祉のお仕事 - ジャンル:福祉・ボランティア

コメント
この記事へのコメント
読んでて感動してしまいました。
人間なんだからいろんなかたちがあるだろうし
やっぱり自分のことを信頼してくれてるだろうと思える人には自分もそうなりますよね。

直接あれしろこれしろじゃなくて
本人からというのが嬉しいですねーー。
2008/06/25(水) 17:58:42 | URL | klee [ 編集]
klee♪

ほんとにrewardingな経験だった。たまに気が向いただけだった
可能性も充分あるんだけどね(ーー;)
そうそう、自ら進んで、っていうところが嬉しいポイントなの。
今週は休みと研修で職場に戻るのは土曜日。
果たしてどんなものかなぁ?
2008/06/25(水) 18:37:15 | URL | stipa [ 編集]
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