日本発スイス経由英国。日記、雑記、こころの整理整頓記。
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Dilemma
私がキーワーカーをしているサービスユーザーのAさん(女性)。
ついこの間彼女が週一で通っている区運営の障害者用のクラスに付き添った時。
はっきり言ってちょっと落ち込んだ。
クラス自体が彼女の理解力では到底難しすぎる内容で付いて行けるもの
ではなかったからだ。

内容ははじめ20分程BBCのお昼のニュースを観てその後いったいどんな
ニュースが取り上げられたかみんなで感想を話し合う。
そしてその後は持ち寄った新聞や雑誌から気に入った記事を見つけて
切り抜いて感想を書く、というもの。
前半と後半50分の間にティーブレイク。Aさん含む9名とそれぞれの付き添い、
先生とアシスタントという構成。

クラス自体に問題がある訳ではない。
『社会』、『世の中』でどんなことが起こっているのか考えることの出来る人
には良い機会ではあると思う。
Aさんは会話能力はあるのでちょっと話した程度では障害程度が
分からないほど語彙もそれなりにあるし、話し方もしっかりしている。
テレビを聴く(彼女は視覚障害者)のも好きだし天気予報とかは
気にして聴いているのでそれでだと思うんだけれど、このクラスに
参加することに決められたのは。
しかし、だ。
実際どの程度彼女がクラス内容を理解しているのか非常に疑問。
出来ないことより出来ることに目を向けて・・なのがサポートワークの
原点だけれど、でも。

(続き↓ 長文)
一体Aさんはクラスから何を『得て』いるんだろうか。
彼女は物事を客観的に判断して理解することはあまり得意じゃない。
ニュース記事を自分なりに消化して何かしらの感想を持つということも
自らはしない人だ。
例えば、どこどこで起こった事件で男の子が亡くなったけどどう思う?
とAさんに尋ねたとする。Aさんは男の子が亡くなった、ということは
理解出来るけれどそこから自分の意見や感情に結び付けることが
出来ないので「男の子が亡くなった・・」と繰り返す。
そこで、こちらが助け舟を出して「男の子が可哀相だね」とか促せば彼女も
「ええ、そうね、可哀相・・」って。
クラスの間中ずっとそういった『促し』が繰り返される。
ほかのクラスメートは自分の意見もちゃんと言える人たちばかりで
サポートワーカーたちは単に隣に座って聴いているだけ。
『耳打ち』されているのははっきり言ってAさんだけである。
何なんだ、それって?
後半の新聞、雑誌を読んで記事を選ぶ作業なんて彼女自身が出来ることは
殆どない。
サポートワーカーが記事を読んであげて選んであげて感想書いてあげて・・・
・・・一体誰のためのクラスなのだろう。

授業が始まってすぐに内容とAさんの能力のギャップにショックで言葉を失った。
過去付き添った同僚たちから話は聞いていたけどここまでとは思わなかった。
一緒にいったもうひとりの付き添い要員はエージェンシーであまり精神的に
頼りにならなかったのもマイナスだったかも。
クラスの先生もAさんのリミットには気づいてはいると思うけれどAさんが
参加できるようにサポートするのが付き添いの役目、9人も生徒が
いるのだから先生だけの力ではどうにもならない、出来るだけ生徒に参加を
促すようにサポートする人に頑張ってもらわなければ、とクラスに向けて
言われたが私のことを非難しているのは明確だった。
ショックで新聞を読む気にもならず半ば唖然としていた訳だけど
それを伝えることもはばかられたので黙っていただけだ。
サボってた訳じゃないのに、そんな風に言われたことも腑に落ちなかった。


それでもAさんのためだ。やっとの思いでAさんを『助け』て記事を選んだ。
何の記事を選んだかひとりひとり聞いて回っている先生。
Aさんのところにも来ると思ったら、来なかった。
私があまり参加してなかったから避けられたんだと思うけど、それで良いのか?
Aさんが『参加』している訳でしょ?
授業中もAさんに対してはYesかNoかで答えられる簡単な質問しかなかった。
まあスムーズに授業を進めたいという気持ちは分かるけど。
前学期より大幅に人数が増えたので余計にAさんは取り残されているようだった。

Aさんが参加出来るようにサポートしろ、協力しろって
足りないところは補えって強要されているみたい。
一体何のためなんだろう。
Aさんが満足ならそれでいいのだろうか。
Aさんはしっかりクラスに参加している気でいる。

それでいいのだろうか。

彼女の一番の楽しみは休み時間の紅茶とビスケット。
他のクラスメートの意見にも興味はまったく示さないし、ニュースの内容も
はっきりいって理解していない。
私はもっと先生側でAさんを指導してくれるんだとばかり思っていた。
ただ授業を進行するばかりで肝心のAさんへの指導はサポートワーカー任せ
だなんて思ってもみなかった。

このクラスに付き添ったことのある同僚たちの中には、Aさんを『助けて』
あげることが当然というか、そうするべき、そういうもんだと思ってた、みたいな
人もいたが殆どは私と同じ意見だったのでホッとした。
Aさんにこのクラスの何が好きか尋ねてみた。
暫く考えた後彼女はこう答えた。
「出掛けるのが楽しい。」「紅茶とビスケットが楽しみ。」
あーあ。
ならば。
もっと彼女にとって真に意義のある時間にするために他にする事を
探すほうが彼女のためにもなると思うという結論に達した。
私の中では。
マネージャーも前学期一度だけ付き添ったことがあったそうで
じっくりは話していないのだけれど私の意見とそう変わらない
印象だったらしい。
マネージャーとしては予算も考えなければいけない。
Aさんにとって意味のないクラスに付き添い2名付けるより
その分他にまわした方がいいんじゃないかと私でさえ思う。
実は私も前学期一度付き添っているがたまたま代行の先生の時で
疑問は持ったけれど多分先生のせいだろうと片付けたのだった。
一見Aさんが楽しみにしていることだし代りがすぐに見つかる訳でも
ないとなれば続行がベストだというのは容易い。
私がAさん担当になる以前から通っていたクラスを辞める、辞めさせる
というのはとても勇気がいる。

私がサポートした翌週、付き添った同僚たちは私とは違ってAさんを『参加』
させるために頑張ったらしい。
新聞を読む、記事を選ぶ、Aさんに何色のペンで書いたらいいか選ばせる、
Aさんに鋏を使わせる(これはちょっとマズかったのでは)など。はぁ・・・。
でも先生からは『今週はAさん、ちゃんと参加出来て良かった、毎週良い
付き添いの方ばかりだったら良いのですけどねぇ、どうもありがとう・・・』
と感謝されたそうだ。腹立たしくなった。
無能な付き添いと思われた事もすごく嫌だ。

Aさんが楽しければそれで良いとして、このままほっておこうか、と
いう気も実はまだしている。
しかし、サポートする側の自己満足ではいけないという確信は
ゆらいではいない。
ああ~Dilemma(ジレンマ)。


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